政策・セキュリティ

生成 AI と著作権——2024〜25 年の国内判例から読む実務方針

2分で読めます
生成 AI と著作権——2024〜25 年の国内判例から読む実務方針

生成 AI の普及と並行して、著作権法との関係をどう整理するかは、出版・放送・エンタメ各業界に現実的な影響を及ぼす論点になった。日本では、文化庁審議会が 2024 年初頭に整理を公表して以来、判例と行政解釈の両輪で議論が進んでいる。

文化庁の整理——学習段階と生成段階

文化庁著作権分科会法制度小委員会が公表した「AI と著作権に関する考え方について」は、生成 AI を巡る著作権の議論を「AI 開発・学習段階」と「生成・利用段階」に分けた。日本の著作権法 30 条の 4 は、表現された思想や感情の享受を目的としない利用に対し、原則として権利制限を認めている。学習段階は原則としてここに該当するとの整理だが、「享受目的」が含まれるか否かの境界事例について、継続的な検討が明言されている。

生成段階——類似性と依拠性の壁

生成された画像・文章が既存の著作物と「類似性」を持ち、かつ「依拠性」(元の著作物に依拠して作られたこと)が認められれば、著作権侵害となりうる。これは生成 AI 特有の論点ではなく、既存の二次創作・模倣作の判例枠組みがそのまま適用される。日本弁護士連合会の意見書も、この枠組みの援用を支持する立場で整理している。

米国の訴訟動向と日本の違い

米国では、New York Times が OpenAI および Microsoft を提訴した案件が注目を集めた。また、米著作権局は AI 生成作品の著作権性について「人間の創作的関与」を条件とする指針を複数回公表している。日本の整理と比較すると、米国は個別訴訟の判決を積み重ねてコモンロー的に枠組みを作る傾向が強く、日本は行政解釈と法改正の組合せで対応する点に違いがある。

実務で問われる二つのプロセス

企業側の実務対応として、開発者と法務の双方から論点化しているのは、(1)学習データの取得元と利用範囲の記録体制、(2)生成結果が既存著作物と類似する場合の検知プロセス、の 2 点だ。オープンモデル戦略を取るスタートアップにとっても、評価用データセットの扱いにおいても、この二つは避けて通れない。出版・マンガ配信のようなコンテンツ産業側では、AI 学習のオプトアウト手段の明確化が次の論点として浮上している。

参考情報 · Sources

  1. AI と著作権に関する考え方について 文化庁著作権分科会
  2. 生成 AI と著作権に関する意見書 日本弁護士連合会
  3. NYT v. OpenAI 訴訟関連資料 CourtListener
  4. AI 生成物の著作権に関する指針 US Copyright Office