楽天モバイルはいつ黒字化するのか——設備投資と ARPU の綱引き
楽天モバイルの参入は、日本の通信業界にとって久々の新規プレーヤー登場だった。ソフトバンクが 1990 年代に業界に参入して以来の本格的な挑戦であり、同時に、従来と異なる無線アクセスネットワーク(RAN)アーキテクチャの実地検証の場にもなっている。
vRAN という技術的選択
楽天モバイルは、専用ハードウェアではなく汎用サーバー上で無線機能を実装する vRAN(virtualized RAN)を全面採用した。Strand Consult の調査レポートや Light Reading の取材記事でも繰り返し注目されてきたとおり、CAPEX(設備投資)の圧縮がセールスポイントだ。ただし、実運用では電力効率や安定性の最適化に時間を要することが知られており、既存大手キャリアの慎重姿勢の理由でもある。
ARPU と加入者数の綱引き
総務省の通信動向調査および楽天グループの四半期決算資料から読めるのは、楽天モバイルの ARPU(契約者あたりの月額収益)が NTT ドコモ・KDDI・ソフトバンクの 3 社と比較して低水準にあるという構図だ。低価格プランで契約者を獲得してきた反面、通信単価の引き上げ余地は限定的で、黒字化の道のりは「加入者拡大 × 客単価改善」の両輪に依存する。
プラチナバンド獲得という転機
日経 xTECH や ITmedia の報道によれば、2023 年に楽天モバイルがプラチナバンド(700MHz 帯)の割り当てを受けたことは、都市部の屋内エリアや地下での電波カバレッジ改善に直結するとされる。顧客満足度指標が改善すれば、解約抑制と ARPU 維持に寄与しうる。
意外な収益源——技術輸出
一方で、楽天シンフォニーが手がける Open RAN 技術の海外キャリア向けライセンス・SI 提供は、国内通信事業とは独立した成長源だ。欧州・東南アジア・中東の新興キャリアへの展開が進んでいることが、同社 IR 資料から読み取れる。通信単体の黒字化より先に、グループ連結への貢献が技術輸出から出てくる可能性もある。重要インフラ事業者への新要件が強化されるなか、通信事業者としての規制対応コストも無視できない要素になる。
参考情報 · Sources
- 楽天グループ 決算説明資料 楽天グループ
- 情報通信統計データベース 総務省
- Rakuten Mobile vRAN Coverage Strand Consult
- 楽天モバイル特集(日経 xTECH) 日経 xTECH