政策・セキュリティ

日本の半導体輸出規制——対中・対米の板挟みで何が起きているか

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日本の半導体輸出規制——対中・対米の板挟みで何が起きているか

半導体輸出規制は、経済安全保障と産業競争力の二つの要請が真正面から衝突する領域だ。日本政府の判断は、米国の要請、中国市場の重要性、そして国内装置メーカーの経営実績の三角形の中で行われる。現在の状況を公表資料から整理する。

2023 年改正の概要

経済産業省は 2023 年 5 月の告示で、先端半導体製造に関わる 23 品目を輸出管理対象に追加した。対象は、フォトリソグラフィー、エッチング装置、洗浄装置、成膜装置などに及び、7nm 世代以降のロジック半導体や先端メモリの製造に用いられる装置が中心だ。輸出時には経産省の個別許可が必要となり、中国向けが実質的な規制対象となった。

主要装置メーカーへの影響

東京エレクトロン(TEL)、SCREEN ホールディングス、ディスコなどの四半期決算説明資料を追うと、対中売上の比率は各社で異なるものの、規制影響を織り込んだ販売計画の見直しが行われてきた。SEMI Japan(半導体製造装置協会)のレポートは、規制の設計そのものよりも「予見可能性の低さ」が業界にとってのコスト要因だと整理している。

米国・オランダ・韓国との温度差

米国は CHIPS Act と輸出管理を組み合わせた政策で、AMAT、Lam Research、KLA などを規制の中核に置く。オランダは ASML を通じて同調し、EUV 装置の対中輸出を厳格化した。一方で、韓国は自国の半導体産業への影響を重視し、参加の速度と強度には温度差がある。CSIS の政策レポートは、この温度差が中長期的に規制の実効性を左右すると論じる。

装置メーカーの戦略対応

業界では、非中国市場(米国、台湾、韓国、日本国内)での売上拡大、サービス・保守収益の増加、先端技術領域(EUV 対応、3D 実装関連)での付加価値追求という戦略がとられている。もっとも、中国市場は世界の半導体製造能力投資の主要部分を占めてきた経緯があり、完全な代替は容易ではない。ソフトバンクグループ傘下の Armのように半導体設計 IP を握る企業群と合わせて、日本の半導体関連産業全体が、この地政学的な再編の渦中にある。産業ロボットの輸出環境と類似する構造的論点を抱えている。

参考情報 · Sources

  1. 外為法に基づく輸出管理(半導体関連) 経済産業省
  2. 半導体製造装置業界レポート SEMI Japan
  3. Semiconductor Export Controls Analysis CSIS
  4. Japan and Semiconductor Controls (Nikkei Asia) Nikkei Asia